コラム

次世代リーダー研修の選び方と進め方|選抜から効果測定までの手順

「次世代リーダー研修は、経営や戦略の科目がひと通り揃ったコースを選べば間違いない」。研修会社の一覧ページには戦略、会計、マーケティングといった科目名が並ぶため、科目の揃い具合で比べたくなる人が多いはずです。

しかし、管理職やリーダー層向けの研修を数多く手がけてきた課題解決力強化道場の立場から言えるのは、科目を比べる前に、研修中に解かせる自社の課題を決めておくと、候補者の伸びを見極めやすくなるということです。

本記事では、次世代リーダー研修の目的と選抜方法から、研修の種類と選び方、効果測定まで、人材育成の実務に近い視点で順を追ってお伝えします。

次世代リーダー研修の対象と目的

次世代リーダー研修は、将来の経営幹部や事業責任者の候補を選抜し、経営者に近い視点と判断力を身につけてもらう研修です。受講するのは選抜された候補者で、全社員が受ける階層別研修とは入口が異なります。

次世代リーダーの定義は、企業が想定する役職で変わります。取締役や事業部長の候補を指す会社もあれば、課長や部長の候補を指す会社もあります。研修の内容と選抜の人数は想定する役職から決まるため、自社がどの役職を想定するかを先に決めておきます。

管理職研修との違いは、見据えるポストにあります。

管理職研修と次世代リーダー研修の違い

管理職研修は、今のポストで求められる業務の進め方や部下の指導を学びます。次世代リーダー研修は、今のポストより一段上の役割を見据え、事業全体の判断を学びます。

次世代リーダー研修が求められる背景

次世代リーダー研修が求められる背景は、経営幹部の後継候補を計画的に育てないと、退任や異動のたびに判断を担う人が足りなくなることにあります。サクセッションプラン(後継者計画。後任の候補を事前に選び、育てておく取り組み)を持たない会社では、候補者の育成が人事異動の時期に間に合いません。

候補者の側にも事情があります。インソースの次世代リーダー向け研修のページには、ポストがあってもリーダーになりたがらない層への対応が、研修のポイントとして挙げられています。昇進を打診して断られる会社では、研修の内容より前に、リーダー役への不安を取り除く場が要ります。

判断を任せられる水準まで育てるには、研修に加えて担当業務の経験が要り、年単位の時間がかかります。候補者の選抜が早いほど、経験を積ませる機会を多く確保できます。

自社が着手する段階かどうかは、次の項目で確かめられます。2つ以上当てはまるなら、候補者を選ぶ段階に入っていると見ています。

  • ✓数年以内に退任や定年を迎える役員・部長が複数いる
  • ✓部長や事業責任者の後任候補を、名前で挙げられない
  • ✓管理職への昇進を打診して、断られることがある
  • ✓管理職が事業の判断を、上位の役職者に預けがちである

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次世代リーダー研修で身につく能力

次世代リーダー研修で身につける能力は、経営の視点、課題解決力、人と組織を動かす力、内省力の4つに整理できます。

  1. 01経営の視点は、自部門の数字だけでなく、会社全体の収益構造や成長戦略を踏まえて判断する力です。
  2. 02課題解決力は、自社の課題を分解して原因を特定し、実行できる打ち手に落とす力です。
  3. 03人と組織を動かす力は、目標を示してメンバーを巻き込み、部門をまたいで協力を得る力です。
  4. 04内省力は、自分の判断の癖や強み、弱みを客観的に振り返り、次の行動を修正する力です。

4つのうちどれを重くするかは、想定する役職で変わります。事業責任者の候補なら経営の視点と課題解決力、管理職の候補なら人と組織を動かす力に比重を置きます。

座学だけでは身につきにくいのは、課題解決力と内省力だと見ています。講義で手法を理解しても、自社の数字と制約で考え直し、他者の評価を受けなければ、使えるかどうかが分からないためです。

次世代リーダー研修の進め方

次世代リーダー育成は、目的の確認、人物像の定義、候補者の選抜、育成手法の決定、評価と見直しの5つのステップで進めます。

  1. 1.目的の確認では、経営幹部の後継者を育てるのか、管理職候補を底上げするのかを決めます。
  2. 2.人物像の定義では、求める能力と行動を、職位と事業に合わせて言葉にします。
  3. 3.候補者の選抜では、基準と人数を決めて対象者を選びます。
  4. 4.育成手法の決定では、研修(OFF-JT。職場を離れて受ける教育)、OJT(実務を通じた指導)、ストレッチアサインメント(今の力より少し背伸びが必要な役割を任せる経験)を組み合わせます。
  5. 5.評価と見直しでは、受講者の行動の変化を確かめ、次期の計画を直します。

育成手法の決定で研修だけに頼らないのは、学んだ内容を使う場がなければ、行動が変わらないためです。研修は考え方を学ぶ場、ストレッチアサインメントは経験を積む場と、役割を分けて組み合わせます。

候補者が数名しかいない会社では、選抜を経営者との面談で済ませてもかまいません。育成プログラム全体は、研修の期間より長く、異動や担当業務の割り当てまで含めて組みます。

次世代リーダー研修の選抜方法

次世代リーダーの選抜方法は、上司や経営層の推薦、アセスメント(能力や適性を測る診断)、公募の3つが基本で、単独で使うより組み合わせたほうが偏りを抑えられます。

方法 強み 注意点
上司・経営層の推薦 日々の仕事ぶりと実績を踏まえて選べる 推薦者の好みに偏り、他部署の人材が候補に上がりにくい
アセスメント 能力を同じ基準で比べられる 測れるのは現在の能力で、伸びしろまでは分からない。実施の費用がかかる
公募(手挙げ) リーダーになる意欲のある人が集まる 意欲はあっても能力が足りない人が応募する。応募者が少ない場合もある

人事評価の高さだけで候補者を選ぶと、次の役割に向かない人が混ざります。現在のポストで成果を出す力と、一段上のポストで求められる力は一部しか重ならないためです。

選抜の基準は、推薦・診断・公募のどれを使う場合も、研修の前に文書で決めておきます。文書になっていないと、候補者や上司から理由を問われたときに説明できません。選抜の人数は、想定するポストの空きの見込みと、研修の定員から決めます。

次世代リーダー研修の種類と選び方

次世代リーダー研修は、公開講座型、社内オーダーメイド型、オンライン学習型、実課題ハンズオン型(受講者が自社の実際の課題に手を動かして取り組む型)の4タイプに分かれます。

タイプ 学べること 向く場面
公開講座型 他社の受講者と同じ講座で、経営知識を体系的に学ぶ。グロービスのMBA型は7か月から2年の期間で、知識の習得が中心になる。リクルートマネジメントスクールの公開型研修には、異業種の受講者との交流を特長とするコースがある 候補者が数名で、社外に派遣して視野を広げさせたいとき
社内オーダーメイド型 自社の経営方針と人物像に合わせて、カリキュラムを組む 候補者が一定数いて、自社のリーダー像をそろえたいとき
オンライン学習型 動画講座とライブ講座で、場所を問わず知識を学ぶ。Schoo for Businessが例 拠点が分かれていて、自律的な学習習慣をつけたいとき
実課題ハンズオン型 自社の実務課題を題材に考えて発表し、講師の個別フィードバックを受ける。課題解決力強化道場が例 知識は一定あり、課題を自分で解く力を伸ばしたいとき

選び方の軸は、候補者に足りないのが知識か、知識を使う力かです。足りないのが知識なら公開講座型かオンライン学習型、知識を使う力なら実課題ハンズオン型が向きます。

人数でも向き不向きが分かれます。公開講座型は社外に派遣するため候補者が数名でも参加でき、社内オーダーメイド型は十数名以上でないとカリキュラム設計の費用に見合いにくくなります。

実課題ハンズオン型を検討する場合、課題解決力強化道場のサービス資料に、導入事例と進め方がまとまっています。料金は非公開のため、資料請求のうえでご案内しています。

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自社課題を題材にする研修の設計

自社課題を題材にする研修は、受講者が研修中に解いた課題を、そのまま実務の打ち手として持ち帰れる設計です。

次世代リーダー育成の解説記事では、ストレッチアサインメントや修羅場経験のように、研修の外で経験を積ませる施策が定番として挙げられます。ただし、アサインメントを用意できるのは異動や新規プロジェクトの機会がある間に限られ、人事が自由に作れる機会ではありません。

研修の中で自社課題を解かせれば、異動を待たずに、実務に近い判断を経験させられます。課題解決力強化道場の導入事例には、知識として持っていた手法が実務では使えていなかったと気づいた声があります。

“ ロジカルシンキング等は本で学んでいたので、自分でできているという自負がありましたが、実際に講師の方のフィードバックを受けて、まったくできていないことを痛感しました。今後の組織を担う担当者だけでなく、部下を持つ人間は、受けたほうがいい内容だと思います。 ― 課題解決力強化道場 導入事例(製造業・経営企画室向け)受講者の声

この事例は、大阪府の従業員約500名の製造業で、次世代の組織を担う経営企画室の担当者が受講したものです。研修後は、自社の課題を整理して経営陣を巻き込みながら、経営指標の見直しに着手しました。ゴールに向けた計画の精度が上がり、定期的な進捗報告会も始まっています。

候補者が研修中に解く自社の課題を先に決めると、必要な科目と、研修後に任せる仕事が決まっていきます。たとえば「営業部門の見込み顧客が減っている原因を分解する」と決めれば、必要な知識は課題の分解とデータの読み方に絞られ、科目の候補が自然に狭まります。

題材にする課題は、候補者の想定ポストで変わります。管理職の候補なら部署をまたぐ課題、経営幹部の候補なら事業戦略を題材にします。

課題解決力強化道場の研修は、手法を講師が教え、答えは受講者本人が出す構造です。設計は次のとおりです。

課題解決力強化道場の研修設計(法人向け)

提供形式は集合型ハンズオン研修で、オンラインと対面のどちらでも実施できます。1回は2時間30分、標準は5回で最短12時間30分です。1クラスは10名以内で、経営層、管理職層、リーダー層に向けて階層別に難易度を調整します。講師は、アクセンチュア、KPMGコンサルティング、デロイトトーマツコンサルティング、PwCコンサルティング出身の現役コンサルタントです。料金は非公開で、資料請求で開示し、ヒアリングのうえ個別に見積もります。

累計の受講者は約800名超で、平均満足度は95.6%(5段階評価の平均換算)です。毎回の個別フィードバックシートで強みと改善点を示し、各回の後に研修企画者との振り返りMTGで次回の方針を調整します。経営知識を体系的かつ網羅的に学ばせたい場合は、公開講座型が向いています。

次世代リーダー研修の効果測定

次世代リーダー研修の効果は、受講中の満足度ではなく、受講後の行動と担当業務の変化で測ります。満足度が高くても、職場で行動が変わらなければ、後継候補の育成には結びつかないためです。

測る内容と時期は、次の4段階に分けられます。

測る内容 時期の目安 測り方
満足度と理解度 最終回の直後 アンケート、確認テスト
研修で扱った課題の進み具合 最終回の数週間後 受講者の報告、上司との面談
行動の変化 数か月後 360度評価(複数の関係者から評価を集める方式)、1on1での確認
担当業務の成果 半年から1年後 担当部門の数値、任された役割の広がり

測る時期は、受講後に実務で学びを使う機会がどのくらいあるかで変わります。担当業務が変わらない受講者は早めに、年単位のプロジェクトを任せる受講者は長めに設定します。

測る指標は、研修を始める前に決めます。研修後に決めると、出た結果に合わせて指標を選んでしまい、改善点が見えなくなるためです。

次世代リーダー研修が成果に結びつかない3つの場面

次世代リーダー研修が成果に結びつかないのは、選抜、研修内容、研修後のどこかで、受講者と実務の接続が切れる場面です。

選抜の理由が本人に伝わっていないとき

選抜の理由が本人に伝わっていないと、受講者は研修を「評価の一環」や「業務の追加」と受け取り、学ぶ姿勢が受け身になります。選ばれた理由と期待する役割は、経営層か直属の上司が面談で伝えます。選抜を非公開にする会社でも、本人への通知は欠かせません。

研修の題材が実務と離れているとき

研修の題材が実務と離れていると、受講者は内容を理解しても、職場で使う場面を思い描けず、行動が変わりません。とりわけ見落とされがちなのが、題材が一般的な事例だけで組まれた研修では、受講者が「自社では事情が違う」と感じて学びを持ち帰らなくなる点です。自社の課題を1つ以上、題材に組み込みます。

研修後に任せる仕事がないとき

研修後に任せる仕事がないと、学んだ内容を使う機会がないまま時間が過ぎます。研修の終了前に、次の3項目を上司と受講者で確かめます。

  • ✓任せる課題または役割が決まっている
  • ✓判断を任せる範囲が文書になっている
  • ✓進捗を確認する面談の日程が入っている

次世代リーダー研修のよくある質問

研修の期間はどれくらいが目安か

次世代リーダー研修の期間は、研修の型で大きく変わります。グロービスのMBA型は7か月から2年の期間で、経営知識を体系的に学ぶ設計です。課題解決力強化道場は、1回2時間30分で最短5回、合計12時間30分から実施でき、テーマに応じて回数を調整します。

期間を決める基準は、学ばせたい内容が経営知識の体系か、特定の自社課題の解決かです。知識の体系なら長期の講座、自社課題の解決なら数回の少人数研修が向いています。

社内研修と外部研修のどちらがよいか

次世代リーダー研修は、候補者が数名なら外部研修、十数名以上なら社内向けにオーダーメイドで組む研修が向いています。数名のために自社専用のカリキュラムを作ると、1人あたりの設計費用が大きくなるためです。

ただし、外部研修にも自社の実務課題を題材にするタイプがあります。自社固有の課題を扱いたいなら、外部か社内かより、題材を自社課題にできるかで選びます。

研修費用は何で決まるか

次世代リーダー研修の費用は、受講人数、回数と期間、自社向けの個別設計の有無で決まります。課題解決力強化道場の料金は非公開で、資料請求で開示し、ヒアリングのうえ個別に見積もります。

見積もりを依頼するときは、次の3項目を伝えると、比較しやすい見積もりが届きます。

  • ✓対象者の人数と役職
  • ✓研修の目的と、題材にしたい自社課題
  • ✓希望する期間と回数、オンラインか対面か

次世代リーダー研修なら課題解決力強化道場へ

課題解決力強化道場は、少人数制 × ハンズオン × 超実践型で、自社の課題を題材に次世代リーダー候補の思考と行動を鍛える法人向けの研修です。管理職や部門長クラスの研修を重ねてきた私たちの見立てでは、候補者の選抜前でも、研修中に解かせる自社課題の整理から始められます。

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