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思考力

部下の育て方がわからない上司へ|つまずく原因と最初にやるべき見直し方

「部下の育て方がわからない」。管理職になってから、こう感じたことのある方は多いはずです。プレイヤーとして成果を出してきた人ほど、そう思いやすいと感じています。自分の仕事はできても、他人を育てる手順は誰からも教わっていないからです。

しかし、これまで多くの企業で管理職層の課題解決力を鍛える研修を手がけてきた立場から言えるのは、育て方がわからないのは能力の問題ではなく、育成を「教えること」だと思い込んでいるからだ、ということです。教えるほど部下が受け身になる、という逆の現象すら起きます。育成の中心は、教えることではなく、部下が自分で考えて動く状態をつくることにあります。

本記事では、そもそも育成とは何かという整理から、つまずく原因、タイプ別の関わり方、そして最初に手を付けるべき見直しまで、実務者の視点で順を追ってお伝えします。

部下の育て方がわからないのは教えることだと考えているから

部下育成とは、部下が自分の力で仕事を進められる状態へ引き上げる関わり全般を指します。目の前の業務のやり方を教えることも含まれますが、それは一部にすぎません。むしろ多くの上司が悩むのは、教えた通りにやってくれない、教えても次に活かされない、という場面ではないでしょうか。

ここで見落とされがちなのが、育成と指示は別物だという点です。指示は、上司が答えを持っていて、それを部下に実行させる行為です。育成は、部下が自分で答えにたどり着けるように支える行為です。両者は目的が違います。育て方がわからないと感じるとき、実際には育成のつもりで指示を出し続けていることが少なくありません。

指示ばかりが続くと、部下は自分で判断する機会を失います。判断しない部下を見て、上司はさらに細かく指示を出す。この繰り返しが「指示待ち部下」を生み、上司の負担を増やします。育て方がわからないという悩みの多くは、この悪循環の入口に立っているサインだと見ています。

育成が上司の役割である理由

なぜ育成が上司の仕事なのでしょうか。管理職の成果は、自分一人の働きではなく、チーム全体の成果で測られるからです。部下が育たなければ、上司はいつまでも実務を抱え込み、本来考えるべき仕事に時間を割けません。

裏を返せば、部下が自分で動けるようになるほど、上司は判断や調整といった、上司にしかできない仕事へ時間を移せます。育成は部下のためだけでなく、上司自身が次の役割へ進むための投資でもあるのです。

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育て方がわからない上司がつまずく5つの原因

育て方がわからないという感覚は、漠然としているようで、分解すると原因がはっきりします。多くの上司に共通してつまずくポイントを5つに整理してお伝えします。自分がどこで止まっているのかを確かめる手がかりにしてください。

1.育成を指示に置き換えてしまう

最も多いのが、育成のつもりで指示を出しているケースです。時間がないと、つい「こうやって」と答えを渡してしまいます。その場は早く片付きますが、部下は考える経験を積めません。結果として、いつまでも手が離れないという状態が続きます。

2.簡単な仕事しか任せない

失敗されると困るからと、難易度の低い仕事ばかり任せる上司もいます。安全ではありますが、部下は成長の機会を得られません。少し背伸びが必要な仕事を任せ、支えながら達成させることが、育成では欠かせないのです。

3.感情的に接してしまう

ミスが続くと、つい語気が強くなることがあります。しかし感情的な指摘は、部下に「何を直すべきか」ではなく「怒られた」という記憶だけを残します。伝わるのは事実の指摘であって、感情ではありません。

4.育成に計画がない

行き当たりばったりで指導している場合、部下は自分がどこへ向かっているのかがわかりません。半年後にどうなっていてほしいのか、そのために今どの仕事を任せるのか。この見通しがないと、育成は日々の対応の積み重ねで終わってしまいます。

5.時間を確保できない

プレイングマネージャーとして自分の業務も抱えていると、育成に割く時間が後回しになりがちです。ただ、育成の時間を惜しむほど、部下が自走せず、結局は自分の業務が増えます。短くてもよいので、育成のための時間を先に予定へ入れておくことが有効です。

5つの原因に共通するもの

5つを並べてみると、いずれも「上司が抱え込みすぎている」点でつながっています。答えも、判断も、仕事の難易度調整も、上司が握ったままだと、部下は動けません。手放す勇気が、育成の起点になります。

部下が自分で考えて動くようになる4つの関わり方

では、抱え込みをどう手放せばよいのでしょうか。指示に頼らず、部下が自分で考えて動くようになる関わり方を4つに分けてお伝えします。順に取り入れられる並びにしています。

1.答えを渡す前に問いかける

部下から相談を受けたとき、すぐ答えを言わず「あなたはどうすればいいと思う」と一度返してみてください。最初はうまく答えられないかもしれません。それでも、自分で考える経験を重ねるうちに、判断の精度が上がっていきます。

2.考える切り口を共有する

ただ「考えて」と丸投げしても、部下は途方に暮れます。考えるための切り口を渡すことが必要です。たとえば「原因を、仕組みの問題と本人の問題に分けて考えてみよう」と枠を示すと、部下は思考を進めやすくなります。切り口を渡すことと答えを渡すことは違います。

3.結果ではなく過程を見て伝える

成果だけを評価すると、部下は結果が出なかったときに何が良くて何が悪かったのかを学べません。「あの段取りは良かった」「あの確認が抜けていた」と、過程の具体的な行動に触れてフィードバックすることで、次に活かせる学びが残ります。

4.任せて、見守る範囲を決める

権限を渡すことは育成の要です。ただし丸投げは放任になります。どこまでは任せ、どの節目では報告してもらうのか、あらかじめ線を引いておきましょう。任せる範囲を明確にすることで、部下は安心して自分で進められます。

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部下のタイプ別に育て方を変える

同じ関わり方が、すべての部下に効くわけではありません。育て方がわからないと感じる背景には、相手に合わない関わりを続けている場合もあります。代表的なタイプごとに、有効な関わり方の違いをお伝えします。

指示待ちタイプ

言われたことはやるが、自分から動かないタイプです。このタイプには、答えを渡すのではなく、小さな判断から任せていくことが効きます。「どちらがいいと思う」と選ばせる場面を増やし、判断した経験を積ませていきましょう。

自主性の高いタイプ

自分で進めたがるタイプには、細かい介入が逆効果になります。任せる範囲を広めに取り、要所だけ確認する形が向いています。口を出しすぎないことが、このタイプを伸ばすうえでの要点です。

ミスを恐れるタイプ

失敗を怖がって動けないタイプには、失敗しても取り返せる仕事から任せ、うまくいった経験を積ませることが大切です。過程を認めるフィードバックを重ね、挑戦への不安を和らげていきましょう。

タイプ分けは、部下を決めつけるためのものではありません。今この部下にどの関わりが効くかを見極める、仮の見立てとして使うものです。関わりながら見立てを更新していく姿勢が欠かせません。

育て方がわからない上司ほど自分の型を疑えていない

ここで、多くの管理職の課題解決力を鍛えてきた立場から、比較記事ではあまり語られない核心をお伝えします。育て方がわからないと悩む上司の多くは、部下の側に原因を探しがちです。しかし、行き詰まりの多くは、上司自身が自分の成功体験を「正しいやり方」として無自覚に当てはめている点にあります。

自分がプレイヤーとして成果を出せたやり方は、自分にとっては最適でした。ただ、それが目の前の部下に合うとは限りません。自分の型を疑えない上司は、部下が育たない理由を部下だけに求めてしまいます。

ここで視点を反転させましょう。育成でうまくいかないとき、まず問い直すべきは「この部下に、自分のやり方を押し付けていないか」です。この問い直しができる上司は、関わり方を柔軟に変えられます。育て方がわからないという悩みを抜け出す鍵は、部下を変えることではなく、自分の関わり方を選び直せるようになることにあると見ています。

「わかる」と「できる」は別のもの

育成の考え方を本で読んで理解しても、現場で実践できるとは限りません。問いかけが大事だと知っていても、忙しいときにはつい答えを渡してしまう。この「わかる」と「できる」の隔たりは、知識だけでは埋まらないのです。

埋めるために有効なのは、実際に自分の関わり方を試し、その場でフィードバックを受ける経験です。自分の指導のどこが答えの押し付けになっていたのか、他者の目を通して初めて気づけることは少なくありません。だからこそ、育成は学ぶだけでなく、試して振り返る場が必要になります。

育成を進めるときの注意点

関わり方を変えていくうえで、気をつけたい点があります。良かれと思った行動が、かえって部下の成長を止めることもあるためです。

  •  
  • ✓結果を急がず、部下が考える時間を待つ
  • ✓育成計画を一方的に押し付けず、本人と共有する
  • ✓過度なプレッシャーで萎縮させない

とりわけ見落とされがちなのが、待つことの難しさです。部下が考えあぐねていると、つい助け舟を出したくなります。しかし、そこで答えを渡してしまえば、また指示に逆戻りです。沈黙に耐えて待つことも、育成の技術のひとつだと感じています。

部下育成でよくある質問

育て方がわからないと感じる方から寄せられることの多い疑問に、順にお答えします。

何度言っても直らない部下はどうすればよいですか

伝え方を変えてみてください。口頭で何度も言うより、本人に「何が問題だったか」を言葉にしてもらうほうが定着します。それでも変わらない場合は、そもそも本人が問題だと認識できていないことが多く、事実を具体的に示すところから始める必要があります。

育成の時間が取れないときはどうしますか

まとまった時間は要りません。日々の相談に答えるとき、答えを渡す代わりに一問だけ問い返す。この数分の積み重ねが育成になります。時間の量より、関わり方の質を変えることのほうが効果があります。

褒めるのと叱るのはどちらが大事ですか

どちらも必要です。過程を認めて褒めることでやる気を支え、事実を指摘して叱ることで行動を正します。大切なのは、叱るときも人格ではなく行動に絞ることです。

育て方がわからない状態を抜け出すなら課題解決力強化道場

部下の育て方がわからないという悩みは、能力の不足ではなく、育成を教えることだと捉えているところから生まれます。指示ではなく、部下が自分で考えて動く状態をつくる。その関わりへ切り替えられれば、悩みの入口から抜け出せます。

ただ、これまで多くの管理職と向き合ってきた立場から言えば、関わり方の切り替えは、考え方を知るだけでは身につきません。自分の指導のどこが答えの押し付けになっているのかは、他者からフィードバックを受けて初めて見えてくるものだからです。

課題解決力強化道場は、少人数制のハンズオン形式で、自社の実務課題そのものを題材に、外資系コンサル出身の現役プレイヤーが一人ひとりに個別フィードバックを行う超実践型の研修です。管理職の課題解決力を鍛えるなかで、部下への関わり方を試し、振り返り、「わかる」を「できる」へ変えていく場をご提供しています。自社の管理職層の育成力を底上げしたいとお考えでしたら、まずは貴社の状況をお聞かせください。最適なカリキュラムをご提案いたします。

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