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チームビルディング研修の選び方|効果を高める進め方とコツ

「せっかく予算をかけてチームビルディング研修をやったのに、終わった瞬間に元の職場の空気に戻ってしまった」という声は、人事担当者からよく聞かれます。ゲームは盛り上がり、参加者の満足度アンケートも悪くない。しかし、数週間経つと部署間の壁や報告のすれ違いは何も変わっていない——この落差が、チームビルディング研修への投資をためらわせる最大の要因になっています。

チームビルディング研修とは、チームのメンバーが互いを理解し、信頼関係を築きながら、共通の目標に向かって協力し合える状態を作るための研修です。座学による知識習得型もありますが、ゲームやアクティビティ、対話形式のワークを通じて体験から学ぶ手法が中心になっている点が特徴です。リモートワークの普及や雇用の流動化によって、以前のように飲み会や雑談から自然に生まれていたチームの結束を、意図的に設計する必要性が増していることが、改めて注目されている背景にあります。

ただし、研修の場で生まれた一体感は、現場に戻った瞬間の業務設計と結びつかない限り、数週間で元に戻ってしまうという事実は、研修を選ぶ前に知っておく価値があります。本記事では、チームビルディング研修の目的や形式の違いから、失敗しない選び方、効果を現場に持ち帰るためのポイントまで解説します。

チームビルディング研修とは何か

チームビルディング研修とは、リーダーやメンバーが、チームとして高い成果を出すための関わり方や仕組みづくりを学び、体験する研修です。個々のスキルを高める研修とは異なり、メンバー同士の関係性そのものを対象にしている点が大きな違いになります。

研修の目的は、主に二つの方向に整理できます。一つは、メンバー一人ひとりが自分の役割を再認識し、お互いの強みや価値観を理解することでチームの関係性の質を高めること。もう一つは、リーダー層が、チームをまとめるためのファシリテーションや合意形成のスキルを身につけることです。同じ「チームビルディング研修」という名称でも、対象者がメンバーかリーダーかによって、設計すべき内容は大きく変わります。

なぜ今、改めて必要とされているのか

以前は、出社して同じ空間で過ごす時間そのものが、自然な相互理解を生んでいました。雑談の中で互いの人柄を知り、トラブルが起きたときも顔の見える関係の中で解決できていた、という側面があります。リモートワークが定着し、雇用の流動性が高まったことで、こうした自然発生的な関係構築が成立しにくくなり、意図的に時間と場を設計しなければチームの結束が生まれない状況になっています。チームビルディング研修への注目が再び高まっているのは、この変化を補う手段として位置づけられているためです。

チームビルディング研修の主な形式

チームビルディング研修は、目的に応じていくつかの形式に分かれます。どの形式を選ぶかは、解決したい課題によって変わります。

ゲーム・アクティビティ形式

ペーパータワーやジェスチャーゲームなど、短時間で取り組める課題をチームで解く形式です。役割分担や意思決定の過程を体感しやすく、初めて一緒に仕事をするメンバー同士の相互理解を深める導入として使いやすい一方、ゲームの面白さに体験が留まり、現場の業務に結びつけにくいという弱点もあります。

対話形式

ファシリテーターの進行のもとで、メンバーが価値観や仕事への向き合い方を率直に話し合う形式です。心理的安全性を高めることを主目的とする場合に向いていますが、対話の質はファシリテーターの技量に大きく依存します。

合宿・アウトドア形式

非日常の環境に身を置き、長時間を共にすることで関係性を一気に深める形式です。広告会社の博報堂ケトルでは、設立時から年に一度、社員全員での合宿を行っており、合宿中は仕事の話を一切せず、普段の職場では触れない体験を共有することを目的にしています。幹事を持ち回りで担当し、1年かけて企画する仕組みそのものが、社内のコミュニケーションを生み出す装置になっている点が特徴的な事例です。

IT企業のフォルシア株式会社は、JTBとフランクリン・コヴィー・ジャパンが共同開発した「7つの習慣®Outdoor」という、書籍『7つの習慣』の内容をアウトドア体験と組み合わせて学ぶ研修プログラムを導入しています。日中はアクティビティを通じて主体性や協力の重要性を体感し、夜は焚き火を囲んで自己開示や相互理解の時間を設けるというサイクルを繰り返す構成で、座学だけでは伝わりにくい価値観の変化を、体験を通じて定着させることを狙いとしています。

対象が新入社員か管理職かで設計を変える

新入社員向けのチームビルディング研修は、初対面のメンバー同士の心理的なハードルを下げ、お互いの人柄を知る時間そのものに価値があります。ゲーム形式の比重を高め、失敗しても安全だと感じられる空気づくりを優先する設計が向いています。一方、管理職向けの研修では、すでに顔の見える関係があることが前提になるため、関係構築そのものよりも、意見の対立をどう調整するか、部署を横断した合意形成をどう進めるかといった、ファシリテーションスキルの練習に重点を置く設計が求められます。同じ「チームビルディング研修」という名称で依頼しても、対象階層の説明が不十分だと、的外れなプログラムが提案されるリスクがあります。

研修で使われる代表的なプログラム例

初対面のメンバーが多い場では、限られた材料でタワーの高さを競う「ペーパータワー」や、ジェスチャーだけでお題を伝え合うゲームのように、短時間で役割分担と意思決定の練習ができるプログラムがよく使われます。中堂・管理職向けでは、架空のビジネス課題を題材にしたケーススタディ形式のグループワークを通じて、合意形成や意見の対立をどう乗り越えるかを練習する内容が中心になります。いずれも、プログラムの種類そのものよりも、「終わった後にどう振り返り、何を持ち帰るか」の設計が研修の効果を左右します。

チームビルディング研修の選び方

研修会社やプログラムの選択肢が多いため、何を基準に選ぶべきか迷う担当者は少なくありません。失敗を避けるためには、次の3点を順番に確認することが有効です。

目的と対象者を先に固定する

「チームの雰囲気を良くしたい」という曖昧な目的のまま研修会社を選ぶと、提案されたプログラムが本当に自社の課題に合っているかを判断できなくなります。部署間の連携不足なのか、新しいメンバーの定着なのか、リーダー層のマネジメント力なのか、解決したい課題を先に言語化しておくことで、プログラムの比較がしやすくなります。

内容が目的と噛み合っているかを見極める

盛り上がりやすいゲーム形式は、満足度アンケートの数値は上がりやすい一方、解決したい課題と直結しないまま終わるケースもあります。プログラムの体験内容そのものよりも、「その体験が、自社のどの課題にどう作用するのか」という説明に納得できるかを確認することが重要です。

運営会社と講師の実績を確認する

同じ「チームビルディング研修」という名称でも、運営会社によって得意とする業種や階層、プログラムの設計思想は異なります。導入実績や、自社と近い業種・規模での事例があるかを確認しておくと、当日の進行や事後のフォローに対する見通しが立てやすくなります。

心理的安全性を阻害する要因も併せて確認する

研修の効果は、参加者が安心して本音を話せるかどうかに大きく左右されます。メンバーの多様性をうまく受け止められていない、ビジョンや目的が共通認識として定着していない、仕事の役割分担が曖昧で不満がたまっている、といった状態が職場に残っていると、研修中にどれだけ良いプログラムを実施しても本音の議論にはつながりにくくなります。研修を依頼する前に、自社のどこにこうした阻害要因があるかを把握しておくと、研修会社への要望も具体的に伝えやすくなります。

リモート環境でも実施できる形式を確認する

拠点が分散しているチームや、リモートワークが中心の組織では、対面を前提にした合宿形式は実施しづらい場合があります。オンラインでも、声優のサポートを受けながら短いアニメーションに声を当てる「アテレコ体験」のように、役割分担をしながらチームで一つの作品を作り上げる形式のプログラムも提供されており、対面でなければ効果が出ないと決めつける前に、オンラインで実施可能な選択肢も比較しておく価値があります。


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研修の効果を現場に持ち帰るためのポイント

冒頭で触れたとおり、研修当日の盛り上がりと、現場での行動変化は別の問題です。この差を埋めるために有効な工夫があります。

体験と振り返りをセットにする

ゲームやアクティビティをこなすだけで終わらせず、「なぜうまくいったのか」「どこで意思決定がずれたのか」をその場で振り返る時間を設けることで、体験が単なる思い出ではなく、実務に転用できる気づきに変わります。振り返りの質は、ファシリテーターが現場の業務にどこまで踏み込んで問いを立てられるかに左右されます。

研修後の運用ルールまで決めておく

研修の最後に「今後どうするか」を曖昧な決意表明で終わらせず、「次の定例会議で何を変えるか」「誰がいつ振り返りの機会を作るか」という具体的な運用にまで落とし込んでおくと、現場に戻った後の行動が継続しやすくなります。研修内で決めたルールを忘れないよう、実施後1〜2週間の節目で簡単な確認の場を設ける運営会社も少なくありません。

関係性づくりだけで終わらせない研修設計とは

チームビルディング研修の多くは、メンバー同士の関係性を良くすることに重点を置いています。これはチームの土台として欠かせない要素ですが、関係性が良くなったからといって、必ずしも課題解決のスピードが上がるとは限りません。「仲は良くなったが、会議では誰も意見を言わない」「打ち上げは盛り上がるが、企画の精度は変わらない」という状態に陥る企業もあります。

関係性の改善と、課題解決力の向上は、別のスキルとして扱う必要があります。後者を伸ばすには、ゲームではなく自社の実際の課題を題材にして、誰がどう分析し、どう役割分担し、どう実行するかを練習する機会が効果的です。架空のケーススタディではなく、自分たちが実際に抱えている課題を扱うことで、研修中の議論がそのまま現場の打ち手に直結しやすくなります。

部門横断の取り組みはあるが、計画力が低く推進が棚上げ状態だったのが、研修を通じてゴールに向けた計画の精度が向上し、定期的な進捗報告会を実施する体制になりました。各部下と1on1を導入し、定期的に成長を確認する体制にもつながっています。― 課題解決力強化道場 受講者(製造業 経営企画室)

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